EngiAtlas 知識マップ
CHAPTER01ARTICLE03

流体力学 / 流れを記述する

FLUID MECHANICS · 01–03

流線・流跡線・流脈線Streamlines, Pathlines and Streaklines

流線、流跡線、流脈線の定義、数式、実験での見え方、定常流で一致する条件を比較して解説します。

読了目安 8分2026-08-13定義・式・単位を出典照合EN version

要旨

流れを表す三つの線は、何を固定して観測するかによって区別される。定常流では一致するが、非定常流では一般に異なる。

02.

流線Streamline

ある時刻の速度場に接する曲線を流線という。曲線上の各点で、接線方向はその点の速度ベクトルの方向と一致する。

ある瞬間の流れ場

流線は時刻を固定して描く。そのため、非定常流では観測時刻が変われば流線の形も変化する。流線を表す曲線要素と速度ベクトルが平行であることから、次の微分方程式を得る。

EQ. 01流線の微分方程式
dxu=dyv=dzw,(t=t∗)\frac{\mathrm{d}x}{u}=\frac{\mathrm{d}y}{v}=\frac{\mathrm{d}z}{w},\qquad (t=t^{\ast})(1)
x, y, zx,\,y,\,z
空間座標[m\mathrm{m}]
u, v, wu,\,v,\,w
速度の各成分[m/s\mathrm{m/s}]
t∗t^{\ast}
流線を定める観測時刻[s\mathrm{s}]
03.

流跡線Pathline

特定の流体粒子が時間とともに描く軌跡を流跡線という。粒子を一つ選び、その位置を連続して追跡することで得られる。

同じ粒子を追跡過去現在時間の進行

流跡線はLagrange的な記述であり、速度場の中を移動する一つの粒子に着目する。粒子位置を時間の関数として表せば、その運動は次式で与えられる。

EQ. 02粒子の運動学
dxpdt=u ⁣(xp(t),t),xp(t0)=x0\frac{\mathrm{d}\boldsymbol{x}_{\mathrm p}}{\mathrm{d}t}=\boldsymbol{u}\!\left(\boldsymbol{x}_{\mathrm p}(t),t\right),\qquad \boldsymbol{x}_{\mathrm p}(t_0)=\boldsymbol{x}_0(2)
xp(t)\boldsymbol{x}_{\mathrm p}(t)
標識粒子の位置[m\mathrm{m}]
u(x,t)\boldsymbol{u}(\boldsymbol{x},t)
Euler速度場[m/s\mathrm{m/s}]
x0\boldsymbol{x}_0
時刻 t₀ における初期位置[m\mathrm{m}]
04.

流脈線Streakline

観測時刻までに同じ固定点を通過した粒子群がつくる線を流脈線という。定点から染料や煙を連続的に注入したときに観察される。

固定点から連続注入固定点

放出位置を固定し、粒子の放出時刻を変える。同じ点から異なる時刻に放出された粒子の、観測時刻における位置の集合が流脈線を与える。

EQ. 03流脈線の集合表示
S(t)={X(t;xs,τ)∣τ≤t}\mathcal{S}(t)=\left\{\boldsymbol{X}(t;\boldsymbol{x}_{\mathrm s},\tau)\mid \tau\le t\right\}(3)
S(t)\mathcal{S}(t)
時刻 t における流脈線
X(t;xs,τ)\boldsymbol{X}(t;\boldsymbol{x}_{\mathrm s},\tau)
時刻 τ に固定点 xₛ を通過した粒子の時刻 t における位置[m\mathrm{m}]
τ\tau
粒子が固定点を通過した時刻[s\mathrm{s}]
05

三つの線の比較

三つの線の比較
比較項目01流線Streamline02流跡線Pathline03流脈線Streakline
固定するもの観測時刻追跡する粒子粒子を放出する位置
定義固定した時刻において、各点の接線が局所速度と平行になる曲線特定の流体粒子が時間とともに移動した軌跡観測時刻までに同じ固定点を通過した粒子群の軌跡
必要な情報同一時刻の速度場一つの粒子の位置の時刻歴異なる時刻に同一点を通過した粒子群の位置
実験上の例瞬時速度場から算出した曲線標識粒子の追跡軌跡定点から連続注入した染料または煙の線

定常流では速度場が時間によって変化しないため、流線・流跡線・流脈線は一致する。

参考文献

参照日:2026年8月11日。外部専門家による査読は未実施です。

  1. [1] MIT, Useful terms for flow description, Fluids Modules.
  2. [2] MIT OpenCourseWare, Streamlines, Pathlines and Streaklines, Unified Engineering.
  3. [3] Purdue University, Flow Visualization.