FLUID MECHANICS · 01–04 / 発展
Euler記述・Lagrange記述Eulerian & Lagrangian descriptions
流れを固定点から見るEuler記述と、粒子を追うLagrange記述を、流れ写像と物質微分で接続します。
要旨
Euler記述は速度や圧力を空間と時刻の場として表し、Lagrange記述は各粒子の運動を追跡する。両者は同じ運動を異なる独立変数で記述し、物質微分が場の変化と粒子が経験する変化を結ぶ。
Euler記述:空間の点を固定する
Euler記述では、密度 ρ(x, t)、圧力 p(x, t)、速度 u(x, t) のように、物理量を空間座標 x と時刻 t の関数として表す。計測点、検査体積、計算格子は空間に固定され、そこを異なる流体粒子が通過する。
配管の固定位置に設置した圧力計や、固定格子上でNavier–Stokes方程式を解く一般的なCFDはEuler記述の例である。
- 密度・温度・速度成分などの場[各物理量の単位]
- 固定した空間位置[]
- 時刻[]
- 固定するもの
- 空間位置または検査体積
- 得意な問題
- 境界が固定された連続体の場、配管流、外部流、固定格子CFD
Lagrange記述:粒子の同一性を固定する
初期時刻に粒子をラベル a で識別し、その粒子の現在位置を流れ写像 X(a, t) で表す。ラベル a を固定して時刻を進めれば、一つの粒子の位置、速度、温度などの履歴が得られる。
粒子追跡法、液滴・気泡の運動、自由表面や大変形を伴う問題では、Lagrange的な表現が自然である。ただし粒子分布が著しく変形すると、近傍関係や数値分解能の管理が難しくなる。
- 粒子ラベル(初期位置)[]
- 粒子 a の現在位置[]
- 速度場[]
- 固定するもの
- 流体粒子の同一性または粒子ラベル
- 得意な問題
- 粒子履歴、液滴・気泡、界面追跡、粒子法
物質微分:二つの記述を接続する
Euler場 φ(x, t) を、移動粒子 x = X(a, t) に沿って観測する。合成関数 φ(X(a, t), t) を時間微分し、dX/dt = u を用いると物質微分が得られる [1, 2]。
右辺第1項は固定点での局所的な時間変化、第2項は粒子が空間勾配の中を移動することで生じる移流変化である。定常流では ∂φ/∂t = 0 でも、空間的に不均一なら粒子は変化を経験する。
- 移動粒子が経験する変化率[]
- 固定点での局所変化率[]
- 移流による変化率[]
- 粒子加速度[]
- 局所加速度[]
- 移流加速度[]
記述の選び方と組合せ
Euler記述とLagrange記述は異なる物理を表すのではなく、同じ運動の座標化が異なる。保存則を固定した検査体積で解くならEuler記述、個々の要素の履歴を求めるならLagrange記述が直接的である。
実務では両者を組み合わせる。例えば連続相の空気をEuler格子で解き、飛散する液滴をLagrange粒子として追跡するEuler–Lagrange法がある。選択基準は、どの量を保存・追跡したいか、境界がどう動くか、計算資源の制約は何かである。
| 観点 | Euler記述 | Lagrange記述 |
|---|---|---|
| 独立変数 | 空間位置 x、時刻 t | 粒子ラベル a、時刻 t |
| 観測 | 固定点を通過する粒子 | 同じ粒子の時間履歴 |
| 代表的な数値法 | 有限体積法・固定格子法 | 粒子法・移動メッシュ法 |
| 主な課題 | 移流項と界面の数値拡散 | 粒子・メッシュの大変形 |