0130秒で理解

太い管から細い管へ流れる非圧縮流体の模式図断面積が小さくなると平均流速が大きくなるA₁V₁A₂V₂広い断面狭い断面
管が細くなると、流れは速くなる。水のように密度がほぼ一定なら、同じ時間に同じ体積を通す必要があるためです。
連続の式は「流体が途中で消えない」という法則

太い管から細い管へ水が流れると、細い側では流れが速くなります。同じ時間に通る質量を変えないためです。連続の式は、この関係をあらゆる流れに使える形で表します。

  1. 1
    観察

    出口の断面が小さくなる

  2. 2
    保存

    同じ時間に通る質量は変わらない

  3. 3
    結果

    密度が一定なら、出口の流速が大きくなる

図に出てくる3つの量

AA断面積
流れに垂直な面の広さ
VV平均流速
断面を通る速さの平均
ρ\rho密度
単位体積あたりの質量
密度が一定の流れ
A1V1=A2V2A_1V_1=A_2V_2
断面積が小さくなった分だけ、平均流速が大きくなります。

02原理と数式

検査体積における質量収支の模式図入る質量から出る質量を引いた差が内部の蓄積になる検査体積入る質量出る質量内部に蓄積する質量
入る − 出る = 内部にたまる連続の式は、この質量の収支をどんな形の領域にも使えるように表したものです。

流体を囲む任意の検査体積を考えます。質量保存則は「内部の質量の増加率」と「境界から正味で出ていく質量流量」の和がゼロである、と述べます。形や場所をどう選んでも成り立つため、流体解析の出発点になります。

まず使う形:定常・一次元
m˙=ρAV=const.\\dot{m}=\\rho A V=\\mathrm{const.}
管やノズルの入口と出口を比べるときに使います。断面平均流速には V を用います。
領域全体の収支:積分形
ddtΩρdV+Ωρu·ndA=0\\frac{\\mathrm{d}}{\\mathrm{d}t}\\int_\\Omega \\rho\\,\\mathrm{d}V+\\oint_{\\partial\\Omega}\\rho\\mathbf{u}\\cdot\\mathbf{n}\\,\\mathrm{d}A=0
検査体積内の質量蓄積率と、境界を通る正味流出質量流量の和はゼロです。
各点で成り立つ一般形:微分形
ρt+·(ρu)=0\\frac{\\partial \\rho}{\\partial t}+\\nabla\\cdot(\\rho\\mathbf{u})=0
微分形(局所形)。第1項は密度の時間変化、第2項は質量流束の発散を表します。

03記号・単位

Symbol意味SI unit
ρ\rho密度kg·m3\mathrm{kg\,m^{-3}}
tt時間s\mathrm{s}
u\mathbf{u}局所速度ベクトルm·s1\mathrm{m\,s^{-1}}
VV断面平均流速m·s1\mathrm{m\,s^{-1}}
AA流路断面積m2\mathrm{m^2}
m˙\dot{m}質量流量kg·s1\mathrm{kg\,s^{-1}}

04導出

検査体積の質量

検査体積内の密度を体積について積分すると、内部の総質量になります。

mΩ=ΩρdVm_\\Omega=\\int_\\Omega\\rho\\,\\mathrm{d}V
境界を通る流出

密度と速度の法線方向成分を境界全体で積分すると、正味の流出質量流量になります。

m˙out=Ωρu·ndA\\dot{m}_{\\mathrm{out}}=\\oint_{\\partial\\Omega}\\rho\\mathbf{u}\\cdot\\mathbf{n}\\,\\mathrm{d}A
保存則を適用

質量の蓄積率と正味流出の和をゼロとおきます。

ddtΩρdV+Ωρu·ndA=0\\frac{\\mathrm{d}}{\\mathrm{d}t}\\int_\\Omega \\rho\\,\\mathrm{d}V+\\oint_{\\partial\\Omega}\\rho\\mathbf{u}\\cdot\\mathbf{n}\\,\\mathrm{d}A=0
局所形を得る

発散定理を適用し、任意の検査体積で成り立つことから局所形が得られます。

ρt+·(ρu)=0\\frac{\\partial \\rho}{\\partial t}+\\nabla\\cdot(\\rho\\mathbf{u})=0

05使用条件

常に残す考え方

どんな流体でも質量保存自体は成立

圧縮性流れでは密度変化を残す

非定常なら蓄積項を残す

! 簡略化の条件

体積流量一定は定常・一次元・密度一定の簡略形

分岐では各流量の総和で考える

平均流速と局所流速を混同しない

06例題

水が直径100 mmの管を2.0 m·s⁻¹で流れ、直径50 mmに縮小する。水を非圧縮とすると、縮小後の平均流速は?

D1=100mmD_1=100\,\mathrm{mm}V1=2.0m·s1V_1=2.0\,\mathrm{m\,s^{-1}}D2=50mmD_2=50\,\mathrm{mm}ρ=const.\\rho=\\mathrm{const.}

A1V1=A2V2A_1V_1=A_2V_2

V2=V1A1A2=V1(D1D2)2=8.0m·s1V_2=V_1\\frac{A_1}{A_2}=V_1\\left(\\frac{D_1}{D_2}\\right)^2=8.0\\,\\mathrm{m\\,s^{-1}}

07計算ツール

連続の式 計算ツール

断面1の状態と断面2の密度・面積から、断面2の平均流速を計算します。

質量流量 m˙\dot{m}20.000 kg·s1\mathrm{kg\,s^{-1}}
断面2の平均流速 V2V_25.0000 m·s1\mathrm{m\,s^{-1}}

08よくある間違い

×

体積流量が常に保存される
圧縮性流れでは保存されるのは質量流量です。密度が変われば体積流量は変わります。

×

断面積が半分なら流速は2倍
円管で直径が半分なら面積は1/4なので、非圧縮なら流速は4倍です。

×

速度ベクトルの向きを無視
流入・流出の符号は、速度ベクトルと外向き単位法線ベクトルの内積で決まります。

09応用・関連知識

ノズル・ディフューザ配管の分岐ポンプ選定風洞圧縮性ノズルCFDの質量収支確認
次は:運動量保存則

流れが物体に及ぼす力を、運動量の変化から求める。

10出典

検証状況

本文・記号・単位・例題は下記資料と照合しています。計算ツールは例題条件で8.0 m·s⁻¹を再現することを確認済みです。外部の技術者による独立査読は未実施です。

  1. 主出典(本文・数式・導出):日本機械学会『JSMEテキストシリーズ 流体力学』
  2. 補助資料(支配方程式):NASA Glenn — Navier–Stokes Equations
  3. 初学者向け解説:NASA Glenn — Mass Flow Rate Equations
  4. 単位・表記:NIST — SI Units